韓国の沢登り
- 2023/07/10
- 16:51
アンニョンハシムニカ!
韓国の山旅
2023.5.27~6.11
遠藤 徹
定年退職した昨年、山と温泉を求めて気ままな日本一周一人旅をした。
その途中に立ち寄った大阪で元大阪わらじの茂木さんとお会いする機会に恵まれた。
「ほな、通天閣ならわかるやろ。通天閣の下で待っといてや」と言われて落ち合い、新世界で痛飲した。そのとき茂木さんから海外遡行同人の記録を、わざわざパソコンまで持参されて観せてくれた。
このときの様子をOBでもあり、茂木さんとの海外登山も多い澤田幸子さんへ知らせたら「韓国の山と谷」を送って頂いたのが、そもそもの発端。
自称ナメラーを謳う私にとって、アジアはおろか、世界一かも知れないと言われるコクペグンのナメに惹かれたのは言うまでもない。
5/27成田から単身ソウル(仁川空港)行きのLCCに乗り込む。ソウルで落ち合う宮内夫妻は、これまで溜まったマイルがあるらしく羽田から金浦空港行きのJALときた。貧富の差を痛感。
5/28は雨でソウル市内の観光とグルメ堪能で過ごした。
5/29高速バスで雪岳山の北側の玄関口でもあるペクタムサへ移動する。この日は水廉洞避難小屋までとし、翌日から沢泊での山越えを予定していたが、日本を経つ直前から私の膝痛が始まり、加えて全装備を担いでの山越えが、この歳になって如何なる苦行なのかを思い知った初日であった。
入山口に量りが設置されていて宮内のザックは22㎏にもなっていた。
5/30コクペグン遡行~主稜線~大青峰~九曲潭渓谷下降~水廉洞避難小屋
計画を縮小し日帰り装備で周回してきた。避難小屋は続けて2泊できないルールだが、いかにも公人らしい宿直の管理人は規則では泊まれない。と言いつつ、今回は特別だと許可してくれた。
5/31ペクタムサへ戻りバスで束草(ソクチョ)へ移動し、表玄関にあたる雪岳山公園へタクシーで行く。この日はキャンプ場にタープとツェルトを張って泊まる。広大なキャンプ場はトイレやシャワーも綺麗で一人500円くらいなのだが、指定されたサイトだと立木がなくタープが張れないため移動を願い出たところ、自立式のテントを持たない日本人たちを不思議に思われた。
6/1千仏洞渓谷往復。本来であれば、この渓谷の本流にあたるヨムジュ谷が今回の韓国行きの狙いであった。茂木さんたちも過去、二度にわたり大青峰に直接つきあげるこの谷を試みたが敗退している。ヨムジュ谷の右俣に相当する「死の渓谷」の遡行記録を見る限り、かなり手強いルートかと想像される。下山後は朝鮮半島の東海岸に面するリゾート地の束草(ソクチョ)まで降りて海鮮料理など食べ歩きを愉しんだ
6/2蔚山(ウルサン)と土旺城滝(トワンソンポッポ)。この日は観光ハイカーに混ざり、手軽で有名所のハイキングを二箇所訪れた。
6/3宮内夫妻はこの日が帰国日なので朝別れた。私は膝さえ痛くなかったらこのあとも雪岳山に残り「恐竜稜線」「カヤドン渓谷」「クングイッテキ沢」などを予定していたが、連日の行動で膝が腫れてきたのでこれを諦めて観光することにした。

澤田さんから送っていただいた韓国の山と谷。これとは別に台湾版もある。

ナメラー垂涎のコクペグンは飽きるほどにナメと花崗岩の美しい滝が続く

韓国第二の高さを誇る雪岳山国立公園の主峰 大青峰(1707.9m)を望む。

最難関の縦走ルート龍牙長城稜を背後に鳳頂庵の佇まい。よく、こんな場所に寺など作ったものだ。

九曲潭渓谷は谷に沿った踏み跡を下降してきたが、下から流芯に沿って遡行するとしたら相当なグレードだろうが興味深いルートだ。日本では考えられない未踏の沢登り。

束草(ソクチョ)は東海(トンヘ/日本海)に面しており、豊富な海産物に恵まれて観光客も多い。国境が近く、その昔は北朝鮮の土地だった。

千仏洞渓谷(チョンブルドン)の側壁。右も左もこんなのが続く。カモシカが登っていたのでしばし見入っていた。カモシカの圧倒的な登攀力に驚く。

千仏洞渓谷。惜しむらくは水量が少なくて迫力がない。この谷も山向うの九曲潭渓谷同様に谷沿いに作られている登山道を離れて遡行するには充分な魅力がある。

蔚山は手軽なハイキングコースとして多くのハイカーが訪れていた。さしずめ瑞牆山を思わせる風貌だが、クライミングのルートは無いようだ。クラック好きなら堪らないだろう。

この日は残念ながら殆ど水が流れていない土旺城瀑布(トワンソンポッポ)。冬季は完全氷結するので日本からもアイスクライミングで訪れる有名所である。この写真を撮っている展望台のベンチは多くのフランス人観光客に占拠されていた。
6/3 宮内夫妻と別れ一人になって、さてどーしたものか。興味本位でここ束草から近い北朝鮮との国境も見てみたかったが、捕まると怖いから海岸伝いに南下することにした。
東海(トンヘ)と言う町に降り立つと、ウルルン島を経て独島までの航路があることを知った。フェリー乗り場に駆けつけたがこの日の最終便は出たあとなので間に合わなかった。
6/4 考えてみれば当たり前の話だが、独島(竹島)へ日本人が気軽に行ける訳がないらしい。ウルルン島だけ行ってみるかとも考えたが、冬のソナタで人気となった燭台岩(チュアム)やナメの美しい 武陵渓谷(ムルン) など見どころも多く、観光目的の西洋人の姿も見られないこの町(トンヘ)が気に入り2泊した。

武陵渓谷(ムルン)は千畳敷のようなナメ帯で多くの親子連れやグループが水と戯れていた。この上流へ続くハイキングコースを歩いてみた。幾つかの小滝を愛でながらの簡単なルートで多くのハイカーが行き交っていた。
6/5 東海(トンヘ)から浦項(ポハン)を経由し大邱市(テグ)を目指す。
大邱市で或いは逢えるかもしれない知人を訪ねての思いつきであった。
6/7まで大邱市で過ごし、ソウルへ電車で戻った。
6/8 北漢山(プッカンサン)
6/9 道峰山(トボンサン)
6/11 帰国

北漢山の主峰にあたる白雲台(ペクンデ)より、クライミングで名高い仁寿岩(インスボン)を俯瞰する。

北漢山の北方に位置する道峰山 どちらもソウル市内から近く、手軽に日帰りできる。
韓国の山旅
2023.5.27~6.11
遠藤 徹
定年退職した昨年、山と温泉を求めて気ままな日本一周一人旅をした。
その途中に立ち寄った大阪で元大阪わらじの茂木さんとお会いする機会に恵まれた。
「ほな、通天閣ならわかるやろ。通天閣の下で待っといてや」と言われて落ち合い、新世界で痛飲した。そのとき茂木さんから海外遡行同人の記録を、わざわざパソコンまで持参されて観せてくれた。
このときの様子をOBでもあり、茂木さんとの海外登山も多い澤田幸子さんへ知らせたら「韓国の山と谷」を送って頂いたのが、そもそもの発端。
自称ナメラーを謳う私にとって、アジアはおろか、世界一かも知れないと言われるコクペグンのナメに惹かれたのは言うまでもない。
5/27成田から単身ソウル(仁川空港)行きのLCCに乗り込む。ソウルで落ち合う宮内夫妻は、これまで溜まったマイルがあるらしく羽田から金浦空港行きのJALときた。貧富の差を痛感。
5/28は雨でソウル市内の観光とグルメ堪能で過ごした。
5/29高速バスで雪岳山の北側の玄関口でもあるペクタムサへ移動する。この日は水廉洞避難小屋までとし、翌日から沢泊での山越えを予定していたが、日本を経つ直前から私の膝痛が始まり、加えて全装備を担いでの山越えが、この歳になって如何なる苦行なのかを思い知った初日であった。
入山口に量りが設置されていて宮内のザックは22㎏にもなっていた。
5/30コクペグン遡行~主稜線~大青峰~九曲潭渓谷下降~水廉洞避難小屋
計画を縮小し日帰り装備で周回してきた。避難小屋は続けて2泊できないルールだが、いかにも公人らしい宿直の管理人は規則では泊まれない。と言いつつ、今回は特別だと許可してくれた。
5/31ペクタムサへ戻りバスで束草(ソクチョ)へ移動し、表玄関にあたる雪岳山公園へタクシーで行く。この日はキャンプ場にタープとツェルトを張って泊まる。広大なキャンプ場はトイレやシャワーも綺麗で一人500円くらいなのだが、指定されたサイトだと立木がなくタープが張れないため移動を願い出たところ、自立式のテントを持たない日本人たちを不思議に思われた。
6/1千仏洞渓谷往復。本来であれば、この渓谷の本流にあたるヨムジュ谷が今回の韓国行きの狙いであった。茂木さんたちも過去、二度にわたり大青峰に直接つきあげるこの谷を試みたが敗退している。ヨムジュ谷の右俣に相当する「死の渓谷」の遡行記録を見る限り、かなり手強いルートかと想像される。下山後は朝鮮半島の東海岸に面するリゾート地の束草(ソクチョ)まで降りて海鮮料理など食べ歩きを愉しんだ
6/2蔚山(ウルサン)と土旺城滝(トワンソンポッポ)。この日は観光ハイカーに混ざり、手軽で有名所のハイキングを二箇所訪れた。
6/3宮内夫妻はこの日が帰国日なので朝別れた。私は膝さえ痛くなかったらこのあとも雪岳山に残り「恐竜稜線」「カヤドン渓谷」「クングイッテキ沢」などを予定していたが、連日の行動で膝が腫れてきたのでこれを諦めて観光することにした。

澤田さんから送っていただいた韓国の山と谷。これとは別に台湾版もある。

ナメラー垂涎のコクペグンは飽きるほどにナメと花崗岩の美しい滝が続く

韓国第二の高さを誇る雪岳山国立公園の主峰 大青峰(1707.9m)を望む。

最難関の縦走ルート龍牙長城稜を背後に鳳頂庵の佇まい。よく、こんな場所に寺など作ったものだ。

九曲潭渓谷は谷に沿った踏み跡を下降してきたが、下から流芯に沿って遡行するとしたら相当なグレードだろうが興味深いルートだ。日本では考えられない未踏の沢登り。

束草(ソクチョ)は東海(トンヘ/日本海)に面しており、豊富な海産物に恵まれて観光客も多い。国境が近く、その昔は北朝鮮の土地だった。

千仏洞渓谷(チョンブルドン)の側壁。右も左もこんなのが続く。カモシカが登っていたのでしばし見入っていた。カモシカの圧倒的な登攀力に驚く。

千仏洞渓谷。惜しむらくは水量が少なくて迫力がない。この谷も山向うの九曲潭渓谷同様に谷沿いに作られている登山道を離れて遡行するには充分な魅力がある。

蔚山は手軽なハイキングコースとして多くのハイカーが訪れていた。さしずめ瑞牆山を思わせる風貌だが、クライミングのルートは無いようだ。クラック好きなら堪らないだろう。

この日は残念ながら殆ど水が流れていない土旺城瀑布(トワンソンポッポ)。冬季は完全氷結するので日本からもアイスクライミングで訪れる有名所である。この写真を撮っている展望台のベンチは多くのフランス人観光客に占拠されていた。
6/3 宮内夫妻と別れ一人になって、さてどーしたものか。興味本位でここ束草から近い北朝鮮との国境も見てみたかったが、捕まると怖いから海岸伝いに南下することにした。
東海(トンヘ)と言う町に降り立つと、ウルルン島を経て独島までの航路があることを知った。フェリー乗り場に駆けつけたがこの日の最終便は出たあとなので間に合わなかった。
6/4 考えてみれば当たり前の話だが、独島(竹島)へ日本人が気軽に行ける訳がないらしい。ウルルン島だけ行ってみるかとも考えたが、冬のソナタで人気となった燭台岩(チュアム)やナメの美しい 武陵渓谷(ムルン) など見どころも多く、観光目的の西洋人の姿も見られないこの町(トンヘ)が気に入り2泊した。

武陵渓谷(ムルン)は千畳敷のようなナメ帯で多くの親子連れやグループが水と戯れていた。この上流へ続くハイキングコースを歩いてみた。幾つかの小滝を愛でながらの簡単なルートで多くのハイカーが行き交っていた。
6/5 東海(トンヘ)から浦項(ポハン)を経由し大邱市(テグ)を目指す。
大邱市で或いは逢えるかもしれない知人を訪ねての思いつきであった。
6/7まで大邱市で過ごし、ソウルへ電車で戻った。
6/8 北漢山(プッカンサン)
6/9 道峰山(トボンサン)
6/11 帰国

北漢山の主峰にあたる白雲台(ペクンデ)より、クライミングで名高い仁寿岩(インスボン)を俯瞰する。

北漢山の北方に位置する道峰山 どちらもソウル市内から近く、手軽に日帰りできる。