湯川と甲府幕岩
- 2015/10/27
- 22:16
二本のクラックルートに執着し続ける
2015年10月24日(土)~25日(日)
下手だからいつまでもこだわり続ける。湯川の「サイコキネシス(5.10d)」がまた登れなかった。一方で、翌日の甲府幕岩の「ライスシャワー(5.11b)」と「JUNE(5.11b/c)」はあっさり登れてしまった。あっさり登れてしまうと、その登りは全く記憶に残らず、他のルートに活かされることもない気がする。
逆に何度挑んでも登れないと、一手一手が鮮明に脳裏に刷り込まれ、どこが悪かったのか思い出し、工夫をしようと努力する。湯川の「サイコキネシス」と城ヶ崎の「コモドドラゴン(5.10d)」のフィンガーサイズのクラック二本が今のその代表例だ。フィンガージャムが下手だから、どちらも核心の一手が安定しない。どうにもならないものではなく、手が届きそうなところにあるからこそ、そこに執着していると言っても過言ではない。この突き詰めていくことのこだわりを失ったならば、クライミングへの興味も失われるときなのだろう。来シーズンもこだわり続けられるようにいよう。
ということで、初日の湯川で僕は全く成果なし、美智子は今年の目標であった「バンパイア(5.10c)」をレッドポイントする。クライミングの間隔が空いていたにもかかわらず、見ている方に全く不安を感じさせない安定感抜群の登りでグレード更新をする。

「バンパイア」をRPする美智子
瑞牆山のマルチを予定していた翌日は、東京では木枯らし一号が吹き抜ける縦縞模様の気圧配置がもたらした寒さと風の強さに 日和ってしまい、暖かさを求めて甲府幕岩へ移動する。僅かな移動で、風もなく、陽射しもやわらかく、心地よさがもたらされた。その上、クライマーも少ない。
いつものように「イエローマウンテン(5.9)」のアップから始まり、「アイソメトリックス(5.10c)」に手を出す。短く、傾斜もなく、容易そうに見えたのだが、そこは5.10cである、細かいカチをつないでいくルートはクリップする際に緊張感が体を包む。
そして、前回の宿題になっていた「ライスシャワー(5.11b)」。「ダーティクライマー(5.11c)」を3便出した後のよれよれ状態の中でのオンサイトトライは、核心の一手の遠いホールドに打ち返され、あえなく撃沈してしまった。フレッシュな状態の本日は、核心の一手は余裕さえ持っていた。その後も気が抜けない終了点のクリップは落ち着いた状態でいられた。核心は上部に凝縮されているが、アンダーやガストンやピンチを使って、楽しむことができた。

「ライスシャワー」をトップロープで登る美智子
「ダーティクライマーズ」は、前傾入口の手前のホールドが保持できず、最終クリップまでつながらない。足の突っ張りのイメージを持って臨んでいたつもりだが、頭と体は別のもの、全くいかせなかった。
この後、美智子は数年来の懸案になっていた「ピリカ(5.10b/c)」を今日の2便目でレッドポイントする。たいていの人がこの岩場の看板ルートに付されたグレードとのギャップに打ちのめされているだろうが、美智子は嫌気も出さずに訪れるたびに必ず触ってきた甲斐があった。登っている姿を下から見ていて、このルートの決め手は足の立ち込みに尽きると再確認した。

「ピリカ」をRPする美智子
まだ、「ダーティクライマー」一本を触っただけであるが、甲府幕岩の5.11cが登れない。一旦グレードを落として5.11b/cに狙いを定め見繕った、「JUNE(5.11b/c)」にはトップロープが張られている。その隣の「つぎいってみよう(5.11b)」にする。カチをつないでいく5.11bのフェースは簡単ではない。1ヶ所手順がつながらず、オンサイトならなかった。
美智子は「ドラエモン(5.10c)」に臨む。4ピン目手前の核心部で力尽きてしまったが、ムーブと手順を解決して、次にはレッドポイントできる確信を得たようだ。
空いた「JUNE」へと、いつものとおり手順を考えずに突入したオンサイトトライは、上部のホールドがつながらずに挫けてしまった。15分休んで、手順を解き明かした2便目でレッドポイント。下部は微妙なバランスを強いられる中でのクリップ、一旦棚で休め、上部のフェースはムーブと手順を求められた。トポには★マークは付されていないが、僕にとっては登って楽しいルートの一つだった。
2015年10月24日(土)~25日(日)
下手だからいつまでもこだわり続ける。湯川の「サイコキネシス(5.10d)」がまた登れなかった。一方で、翌日の甲府幕岩の「ライスシャワー(5.11b)」と「JUNE(5.11b/c)」はあっさり登れてしまった。あっさり登れてしまうと、その登りは全く記憶に残らず、他のルートに活かされることもない気がする。
逆に何度挑んでも登れないと、一手一手が鮮明に脳裏に刷り込まれ、どこが悪かったのか思い出し、工夫をしようと努力する。湯川の「サイコキネシス」と城ヶ崎の「コモドドラゴン(5.10d)」のフィンガーサイズのクラック二本が今のその代表例だ。フィンガージャムが下手だから、どちらも核心の一手が安定しない。どうにもならないものではなく、手が届きそうなところにあるからこそ、そこに執着していると言っても過言ではない。この突き詰めていくことのこだわりを失ったならば、クライミングへの興味も失われるときなのだろう。来シーズンもこだわり続けられるようにいよう。
ということで、初日の湯川で僕は全く成果なし、美智子は今年の目標であった「バンパイア(5.10c)」をレッドポイントする。クライミングの間隔が空いていたにもかかわらず、見ている方に全く不安を感じさせない安定感抜群の登りでグレード更新をする。

「バンパイア」をRPする美智子
瑞牆山のマルチを予定していた翌日は、東京では木枯らし一号が吹き抜ける縦縞模様の気圧配置がもたらした寒さと風の強さに 日和ってしまい、暖かさを求めて甲府幕岩へ移動する。僅かな移動で、風もなく、陽射しもやわらかく、心地よさがもたらされた。その上、クライマーも少ない。
いつものように「イエローマウンテン(5.9)」のアップから始まり、「アイソメトリックス(5.10c)」に手を出す。短く、傾斜もなく、容易そうに見えたのだが、そこは5.10cである、細かいカチをつないでいくルートはクリップする際に緊張感が体を包む。
そして、前回の宿題になっていた「ライスシャワー(5.11b)」。「ダーティクライマー(5.11c)」を3便出した後のよれよれ状態の中でのオンサイトトライは、核心の一手の遠いホールドに打ち返され、あえなく撃沈してしまった。フレッシュな状態の本日は、核心の一手は余裕さえ持っていた。その後も気が抜けない終了点のクリップは落ち着いた状態でいられた。核心は上部に凝縮されているが、アンダーやガストンやピンチを使って、楽しむことができた。

「ライスシャワー」をトップロープで登る美智子
「ダーティクライマーズ」は、前傾入口の手前のホールドが保持できず、最終クリップまでつながらない。足の突っ張りのイメージを持って臨んでいたつもりだが、頭と体は別のもの、全くいかせなかった。
この後、美智子は数年来の懸案になっていた「ピリカ(5.10b/c)」を今日の2便目でレッドポイントする。たいていの人がこの岩場の看板ルートに付されたグレードとのギャップに打ちのめされているだろうが、美智子は嫌気も出さずに訪れるたびに必ず触ってきた甲斐があった。登っている姿を下から見ていて、このルートの決め手は足の立ち込みに尽きると再確認した。

「ピリカ」をRPする美智子
まだ、「ダーティクライマー」一本を触っただけであるが、甲府幕岩の5.11cが登れない。一旦グレードを落として5.11b/cに狙いを定め見繕った、「JUNE(5.11b/c)」にはトップロープが張られている。その隣の「つぎいってみよう(5.11b)」にする。カチをつないでいく5.11bのフェースは簡単ではない。1ヶ所手順がつながらず、オンサイトならなかった。
美智子は「ドラエモン(5.10c)」に臨む。4ピン目手前の核心部で力尽きてしまったが、ムーブと手順を解決して、次にはレッドポイントできる確信を得たようだ。
空いた「JUNE」へと、いつものとおり手順を考えずに突入したオンサイトトライは、上部のホールドがつながらずに挫けてしまった。15分休んで、手順を解き明かした2便目でレッドポイント。下部は微妙なバランスを強いられる中でのクリップ、一旦棚で休め、上部のフェースはムーブと手順を求められた。トポには★マークは付されていないが、僕にとっては登って楽しいルートの一つだった。